「彼女には僕と同じような経験をさせたくないんです。」
マネージャ2名を前にして、静かに熱かった自分に少し驚いた。
入社して十数年。OJTといいながら、
会社から与えられることなく転々とさせられた客先。
二十代後半で気づけば何の業務知識も、自信を持てる知識もなく、
強みや居場所を持った同僚をうらやむ日々。
追い上げてくる優秀な若手。焦る自分。ただ消耗するだけの時間。
こんな経験をもう誰にもさせたくないという想いから、つい熱くなった。
2年目の若手に、
上流工程に関わる仕事をさせることが大変なのは重々承知。
ただ、SEによく欠けている「お客さんの立場になって考える」を学ぶ
絶好のチャンスを「若いから」や「経験が浅いから」という理由で
断ち切るのは間違っていると思う。
彼女にはそれに見合うだけの
ヒューマンスキルがあると確信した上での発言だった。
全員が合意で終えた打ち合わせの帰り道、
「マネージャ2人はさすがに震えたわ」とこぼすと、
後輩はいつものあどけない笑顔を見せた。
SEとしては技術スキル不足という致命的な課題はあるけれど、
きっと彼女なら乗り越えてくれると信じている。
僕も、どんなときでも支えてあげられるよう
全力を尽くさないといけないと思った。
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